枡工房枡屋(運営:有限会社大橋量器)で販売する枡について詳しくお伝えします。
「大垣の木枡」「大垣の枡」は2020年に特許庁による「地域団体商標」に登録認定されました。
わたしたちがつくる枡はすべて日本産。国内で採れた檜(ひのき/ヒノキ)を使用しています。全体的に淡く、淡黄色に近い色合いは落ち着いた清潔感があります。天然素材だからこそ、一つ一つの木目も異なります。
木目
まったく同じの木目はひとつとしてありません。長年、森で育ってきた証です。
木色
丸太の内側「赤太(あかた)」と外側「白太(しらた)」違いで色が変わります。
木肌
高級木材であるひのきは光沢があり、薄桃色・薄黄白色の白木です。やわらかでなめらかなその木肌は優しさとぬくもりを感じます。表面に汚れが付きにくく、まな板やカウンター等、食との相性も抜群です。
樹脂成分
桧の抗菌作用や、特有の芳香をもたらす成分が高温多湿時に表面化します。
フシ
幹が太くなる過程の中で枝の元の部分が幹の中に包み込まれてできたものです。
リラックス効果
ひのきは「香りを売る」と言われるほど特有の芳香があり、フィトンチッドという物質も含まれています。フィトンチッドには森林浴の時に感じる爽やかなリフレッシュ感、消臭防臭効果と抗菌・防虫効果、気分をリラックスさせてストレスを軽減させる効果があります。ひのきは私たちに癒しをもたらしてくれる木なのです。
美しい仕上がり
伝統的な枡はシンプルな直方体ですが、その製作には緻密さが求められます。正確に切り出した4枚の側板を組み、底板を貼り、カンナをかけて仕上げる。機械を使いながらもさまざまな工程で繊細な手作業を欠かすことができない枡づくりは、枡職人の知恵と匠の技が生きています。
枡職人
枡をつくるための3要素は「檜(ひのき/檜)」「道具と刃物」「職人」です。
大橋量器の職人は伝統の規格枡を精度高く量産するのと同時に、新製品や特注の枡も、若い職人達のチームワークでつくり上げます。
あられ組
枡の最重要ポイント。はかりとして活躍してきた枡にとって、形を強固に保つあられ組は大切な技術です。ひのきの特性を引き出し「木殺し」を施した組みは、液体まで保持できる性能と、枡の美しさを実現します。
円盤かんな
表面仕上げをすることで木肌の質感を際立てます。研ぎ澄まされた職人の手先の感覚と、円盤かんなの絶妙なハーモニーが、枡をつるっとしたなめらかな手触りに仕上げます。
環境に優しく、森の資源を活かす。
枡づくりに使用している木材は、住宅を建てるときに使用される建築材の端材を利用しています、枡を作るために伐採するのではなく、使い道の限られた木材を使用することで、森づくりの一端を担っています。
端材活用
端材とは切り落とされた「端っこの材料」のこと。サイズが豊富な枡づくりに活かします。
また、枡を製造する過程においても、一部が欠けてしまい使用できない枠や木端材を商品として再生させる取り組みを行っています。
使い切る
枡をつくる工程で出る木の削り節を商品を届けるときの緩衝材に使用しています。
SDGs
環境保全に類するエコな製品づくりに専念しており、環境に負担をかけない脱プラスチックに取り組んでいます。森林育成に貢献することで山から川へ栄養が行き渡り、海の環境保全につながります。
※SDGsとは「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」にて記載された、2030年までの国際目標のことを指します。
大垣市は、木曽や東濃など日本有数のひのきの産地に近く、良質の天然桧を入手するには恵まれた土地です。
ただ枡をつくるために木を切るのではなく、家を建てる際の柱やかもい、なげし等を作る際に出る切り落とし部分(端材)を材料として仕入れています。枡は林業のサイクルに根差した、環境にやさしいエコな道具なのです。
乾燥させて木の水分や油分を散らします。 木の収縮を少なくするため、樹脂成分(ヤニ)を出にくくするためにとても重要な工程です。一升枡のような面の広い材料ほど木の反りや変形が出やすいため、乾燥させる際も気を配ります。
天日干しや乾燥場の燻し、電気ヒーターなどを使い分けており、天日干しの場合は冬に仕入れた材料も夏まで待って、ひと夏干します。
4軸モルダーで桧の板材の下面・右面・左面・上面を同時に削り、4面の表面を加工するためのサイズに整えます。一合枡だけでも、一日におよそ1600枚の側板用の板材と、400枚の底板用の板材をモルダーに通しますので、一日あたり、約2000枚の桧の板材を掛けることになります。
モルダーの出口には「超仕上げ」と呼ばれるかんな掛けをする大きな機械があり、枡の側板の場合は内側になる面をツルツルにかんな掛けします。
作業台の下から大きな丸鋸がジャンプするように飛び出てくるジャンピングソーという機械で、モルダーで加工された板を枡の寸法に合わせて20枚同時にカットします。
一合枡の場合、1日に側板用の板材から8000枚の駒を、底板用の板材からは2000枚の底板をカットします。
ロッキングカッターで枡の組目となる溝(ほぞ)を掘る工程です。回転する複数枚のカッター(丸鋸チップソーの幅の広いモノ)が等間隔に並んでいるところに、ロックされた駒が上下動させます。一度の上下動で左右対称となる20枚の溝が掘られた駒ができます。
溝(ほぞ)ができた駒の溝の間に、ブラシで糊を塗ります。多すぎず少なすぎず均一な量になるよう気をつけながら、20枚をまとめて塗っていく様はまさに職人技。大橋量器では、食品安全衛生上問題のない木工用ボンドを使用しております。
糊付けされた状態の駒4枚一組で四角に組み、軽い圧を掛けて仮組します。 一合枡の場合は機械で、一合枡・八勺枡より大きいものや小さいものは手組みで行い、その後に本締めをします。
エアーの圧力を利用した締め機で締め上げながら、締まっているかどうかは目視でチェックをしていきます。組む速さや締める感覚は、熟練した技術が必要な工程です。
完成した木枠に底板を貼り付ける工程です。組みで使用するものと同じ糊を木枠に付けて底板を貼り付け乾燥させます。手作業で締めて一晩乾燥させる方法と、底付け機の熱で乾燥させる方法があります。ここで初めて枡の原形が完成し、この状態で保管します。
円盤カンナと呼ばれる機械で側面の4面を一気に削ります。ぐるぐる回るかんな削りの機械にはカンナ刃が3枚ついており、作業台面と回転している円盤面が垂直になるよう当てて削ります。熟練した職人が均一・ピカピカに仕上げる枡づくりに特化した独自の工程です。
製品の角を丸め、それを扱う人にとってやさしい手触りや口当たりにする作業です。円盤カンナで仕上がった枡の角部分を手がんなや面取り機で取ります。一つ一つ枡の全12辺の面を取り、枡が完成します。手がんなで面取りする技は枡職人の腕の見せ所です。
枡にはオリジナルデザインや名入れを施すことができます。焼印・レーザー・プリント(シルク印刷)の3種類があり、それぞれ特徴が異なりますのでお客様のご要望に応じて決定します。
焼印は専用の焼印機にデザインされた銅版を設置し、高温で圧を掛けて枡に焼き付けます。レーザー加工に比べて、焦げ色が濃くはっきりと押印されるデザインが特徴です。
枡の生産日本一 岐阜県大垣市
当社のある岐阜県大垣市は“枡”の生産量全国シェア80%を誇っています。
現在大垣市には3社の枡の製造会社があり、それぞれ遠い親戚の間柄です。大垣市の年間の枡の出荷量はおよそ200万個にのぼります。
大垣市は木曽ひのきや東濃ひのきなど、日本有数のひのきの産地に近く、良質の天然ひのきを入手するには恵まれた土地です。
ただ、千年以上日本で使われてきた枡の歴史を考えると、今日の大垣市と、これまで全国で発見された枡や、京枡、江戸枡などの長い年月の中でのそれらとのつながりは正直見当たらず謎に満ちています。そのため、実際は木曽からのひのきが集まる一大集散地である名古屋から、明治時代に一人の枡職人が大垣の地へやって来て枡作りを始めたのが大垣の枡作りの起源といわれています。